封印エレベーター

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 私は学生時代に個人経営の焼肉屋でアルバイトをしていました。  部活の先輩であるOが働いている店で、Oの紹介という形で入ることになったのです。  私はそこで、恐ろしい体験をすることになったのです。  2階建ての古びた外観の店でした。  1階はテーブル席で、2階は団体客用の宴会スペースになっていて、畳の敷かれた小上がり席になっていました。  営業時間は2部構成で、午前11時30分から午後2時までがランチタイム。午後5時から深夜11時までがディナータイムでした。  近所にチェーン店のおしゃれで安い焼肉屋があるため、カップルや若者客はほとんど取られていたのですが、2階にある宴会スペースが店の強みで、会社の団体客などでにぎわっていました。特に忘年会などの繁忙期は猫の手も借りたいほどの忙しさでした。  2階に上がるための階段は入口近くにある螺旋階段でした。これがクセモノで、1階と2階を何度も往復すると目が回ってくるんです。 「あの階段、どうにかならないんですかね? 普通の階段にしてほしいですよ」私はOに愚痴をこぼしました。 「慣れるしかないよ」Oは特に気にする様子もなく、黙々と働いていました。
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