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私の名前はアリス丘の上に立つ一軒家の一人娘。
精霊使いの端くれ。と言っても訳ありです。
ベッドタウンにある県立精霊高校特殊科の二年生である。
今日も何時もの様に通う学校に通っていた。
「先輩……!」
私が一階の通路を歩いていると三階の窓から男子が声をかけられる。
「はい?」
「先輩はアリス・ナノテラシーさんですよね」
男子に声をかけられるなんて初めてどうやら一年後輩の様だ。
「そうです」
「先輩は精霊召喚だけは、この学校で一番ですよね。課題の精霊召喚が上手くいかなくて困っているのです。教えてくれませんか?」
ずいぶんと素直に言ってくれる確かに精霊召喚だけは自信があるけれど。
うーん『だけは』か……ホントの事だけど。
何だろう?この感覚……彼になら、でも、迷い?
「ちょっと待って、放課後その教室に行くわ」
私は空き教室で『運命の精霊』の召喚を試してみた。
この精霊は高度な技術が必要なので魔法陣から声が聞こえる程度しか出来ないけれど。
「我を召喚せしは汝か」
「はい、私の運命について聞きたくて召喚しました」
「我を呼べし器ならその問いに答えよう」
「ありがとうございます、問いは一つ、今日出会った少年に私の秘密を証したいのですが……」
「答えは『証す』だ」
私の心は震えた、私の秘密を話すのか、『運命の精霊』を呼ぶと決めてから覚悟はしていたけれど。
私は放課後、彼のもとに行き、私の家に来るように誘った。
彼は『瀬戸 瞑夜』さんで、県立精霊高校普通科一年だ。
私の家に着くと二階へと向かった。彼は少し緊張しているのか声が震えていたが私の部屋の前で一息つくと少しりりしくなった。
そして、ドアを開けた。
すうっと、消える私に驚いた彼に、椅子に座った私が声をかける。
「これが私の秘密、私は小さな少女、ここから精霊である高校二年のアリスを操って外に出て、学校に通っている」
私の秘密に彼は最初驚いていたけれどいつの間にかうち解けていた。
こうして、彼との奇妙で奇跡な関係が始まった。
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