年下の彼?

6/22

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
ここはパイプオルガンのある部屋、前学園長の個人的なものにより建てられた施設だ。 前学園長は、それは音楽好きでこの施設と同時にオルガン部を創設している。 私の趣味?であるオルガン、一人になりたい時はここで奏でている。 「君は何時も寂しそうに、奏でるね」 少し身長の低めの老人が声をかけてくる。 そう、この前学園長である。 私が精霊である事を知る、唯一の大人である。 「せっかくだから、シューベルトを一曲頼むよ」 私は迷った。 「心無き召喚士にリクエストはご遠慮下さい」 そう、ここだけ秘密、このオルガンの前だけは本当の私。名も無き少女でいられる。 「君らしい、答えだ。でも、少し目に光が見えるね、良い事でもあったかな」 「少し、召喚術が楽しくなりました」 私はもう、一曲弾く事にした。 奏でられるオルガンの音だけで異世界の様だった。 前学園長は静かに聴いていた。 それは名も無き曲、名も無き私が奏でる。 小さな想いを込めて……。 弾き終わると、一人だけの拍手が待っていた。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加