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ここはパイプオルガンのある部屋、前学園長の個人的なものにより建てられた施設だ。
前学園長は、それは音楽好きでこの施設と同時にオルガン部を創設している。
私の趣味?であるオルガン、一人になりたい時はここで奏でている。
「君は何時も寂しそうに、奏でるね」
少し身長の低めの老人が声をかけてくる。
そう、この前学園長である。
私が精霊である事を知る、唯一の大人である。
「せっかくだから、シューベルトを一曲頼むよ」
私は迷った。
「心無き召喚士にリクエストはご遠慮下さい」
そう、ここだけ秘密、このオルガンの前だけは本当の私。名も無き少女でいられる。
「君らしい、答えだ。でも、少し目に光が見えるね、良い事でもあったかな」
「少し、召喚術が楽しくなりました」
私はもう、一曲弾く事にした。
奏でられるオルガンの音だけで異世界の様だった。
前学園長は静かに聴いていた。
それは名も無き曲、名も無き私が奏でる。
小さな想いを込めて……。
弾き終わると、一人だけの拍手が待っていた。
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