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序章
──────『回転軸は時空と連動する。風車の力を見くびらないで…』
夜風が肌寒い満月の日。風車島を見下ろす月の裏側で、透き通るような声が響き渡った。儚く消え入りそうで、それでも確かな信念を持つ真っ直ぐな声。けれど誰もが寝静まった現在の風車島では、その声は誰に届くことも無い。いや、たとえば例に漏れ、夜空を見上げる人間がいたとしても、それが届くことはないだろう。
何故なら、それはあの日の少女に向けられたものだから。全てを背負い、全てを捨て、そして全てを守ると誓ったあの少女。
たった一人に捧げられたその言葉は、きっとこれからも、彼女の中でのみ存在し続けるのだろう。
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