第二章

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「ねえアミー」 「なに?」 「君は風車祭りが好きなんだろ? 俺に合わせてここに居なくても、みんなが集まってる方へ混ざってきて良いんだよ?」 「天は?」 「俺はもう少しここにいる」  アミーが描き足した雲の絵を眺める天がそう言って微笑む。丘の上に敷いたシートに寝そべってくつろぐアミーは、むぅっと頬を膨らませて上半身を起こした。 「何よそれ。ぶん殴るわよ?」 「なんで!? 怖いな!」 「今は貴方といるのに、私一人で行ってどうするのよ。つまらないわ」  深い意味も無く発した言葉なのだろうが、アミーの言葉を聞いた天はだらしなく口を開けたまま硬直する。二、三秒ほどアミーの言葉を脳内で繰り返し、理解した途端に赤くなる頬を右手で覆って勢いよく下を向いた。波打つ鼓動を無理やり押さえつけ、なんでも無いように取り繕った声を必死に発する。 「そ、そっか。う、うん、そっか」 「そうよ。それにお祭りって、仲の良い人と行くから楽しいの。だから、まぁ……天も行くなら、一緒に行っても良いけど……」  徐々に尻すぼみになり、視線も泳がせながら呟くアミー。天はキョトンとした顔でそんなアミーを眺め、全てを察した後に思いきり笑った。 「うん。アミーの言う通りだ」 「え?」 「さあ行こう、アミー。祭りってのは、楽しまなきゃね」  立ち上がり、天はアミーの手を取る。そのまま引き寄せられるように立ち上がったアミーは、天の言葉の意味を理解して瞳を輝かせた。 「うん! 行こう」  向かう先は島民たちが音楽隊の演奏をバックに酒を交わし、笑顔を咲かす祭の場。手を繋いで歩き出す天とアミーの足取りは軽やかだ。ザクロのタルトやキウイベリーのスムージーも食べようと会話を弾ませて丘を下る。  そうして二人が島民達の輪に混ざったのと、風車島の地が大きく轟いたのは、ほぼ同時のことだった。
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