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「1回限り有効って夢を、お守りにするんだ。NYの地下鉄ってさ、GOOD FOR ONE FAREだから改札出ない限りどこまで乗ろうが1回分ってことで。」
「そうか。」
「だから、乗ってから行き先決めても間に合う。」
「乗り越しても怒られないってことね。」
「今、迷ってて。」
「うん。」
「こんな世間知らずの女の子がさ。」
「うん。」
「大して荷物も無さそうだし。」
「うん。」
「このまま俺んとこ来るか?」
「え…」
「なんて言いたくなった。」
言いたくなった…でも言えない、つまり、岡崎先輩のとこには連れて行ってもらえない、それはつまり、
「ルームメイトがいてさ。」
先輩の顔を見れずに真上の銀色の天井を見上げた。ヒップホップは誰に咎められるでもなく相変わらず大音量で車内を賑わせている。
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