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「ユニオンスクエアだって。私もう降りなきゃ。」
地上に出て空を見上げたら、この空が四ツ谷とは全く別の時間を流れる空だということを知るのだろう。
東京メトロの混雑では必死に自分の居場所を守ろうとするのに比べて、ここには私が守るべき私がいなかった。
分かっていてもやっぱり空を見上げてズーンと真下に落っこちてゆく感覚に取り込まれたかっただけなのだ。
「荷物、ありがとう。」
「ドミトリーまで一緒に行くよ。迷子になるだろ?」
「大丈夫。地図持ってる。」
「だから!」
大きな声を出したあたりでヒップホップの兄ちゃんは車両を降りて行った。
「そんな格好で、キョロキョロしてるのが危ないって、分かんないのか?!」
乗客が入れ替わる。ユニオンスクエアは乗り換えする人の多い駅。
乗り過ごしてしまった。
私も次の駅でアップタウン行きに乗り換えないと。
最短経路でしか検索してなかったから、また調べ直さないと。
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