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俺は走り出した。
足がもつれるし、血小板や白血球と沢山ぶつかる。
「え、酸素?」
「おいおい!体内を単独行動は...」
「誰かと結合してこいよ!」
うるさいうるさい。
俺は今それどころじゃない。
肺胞を出てからどれだけ時間が経っただろう。
俺はやっとヘモグロビンの後ろ姿を見た。
「ヘモグロビン!」
「さん、そ...」
未だに肩を抱かれたままのヘモグロビンが振り返る。
一酸化炭素は心底嫌そうに睨んでくる。
「知ってるだろ。お前と俺とじゃヘモグロビンとの結合力が天と地の差だ。今更ヘモグロビンを譲れないし...」
一酸化炭素の様子が一瞬止まる。
「チッ...」
酸素投与が行われたのだろう。
酸素マスクにより大量の純酸素が入ってきた。
「わっとと」
ヘモグロビンが急に一酸化炭素に押され、俺の胸へと飛び込んくる。
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