港町

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一周まわってもらってから書庫に行き、南の街の特徴などわからないかと本を探す。 東の家とはまた違い、本の種類がかなりあるのでどれを読んでみようかと手を伸ばしては引っ込める。 「だめだ、沢山ありすぎてわかんない……南のこう、特徴とか歴史とかの本ないかな?」 「でしたらこちらはいかがでしょう?軽い読み物なので、挿絵も入っています」 「もしかして全部読んだとか?」 「この家の書物はすべて把握しております」 パラパラとめくると、数ページに一つ挿絵があり、読みやすそうなので部屋に持っていくことにし、夕食まで部屋でゆっくりとすることにする。 「みんな出ておいで」 ポポンとみんなが出てきて、ベランダから海を見てはしゃいでいる。 「出たらダメだよ?危ないから」 「あいっ!」 「はい、翡翠いい子」 「雪、あれ何?あれ!」 窓から見ると海の向こうから帰ってくる船があり、その船の上に大きな旗がたっているので、漁船だろうと教える。 「魚とか?」 「そうそう、漁師さんかなぁ?明日見れると思うよ?いい子にしてたら那智さんも出てていいって言ってくれると思うし」 「みんなでいい子にする!後これ、栞が作ってくれた」 翡翠はイチゴ柄の洋服。金と銀には小さなショルダーバッグ。中に何が入っているのか見せてと言うと、たくさんのおやつが入れられていた。 「沢山くれた。向こうで食べていいよって。ひーちゃんのはこれ!」と鞄の中から苺のマシュマロの小袋が出てくる。
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