港町

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持ってきていた絵本集ではあるが、タイトルはかぐや姫。 かなり簡単に書いてあるのですぐに読み終わると、また「姫ずるい」「ちゃんと振ってやればいいのに」などと言っていて、夢がなくなりそうで怖い。 「次何か読む?」 「いい、ひーちゃんの好きなの見る」 「翡翠は何が好きなの?」 「一寸法師」 「何で?」 「分かんないけど、お椀みてご飯ご飯て言ってるよ?」 確かにお椀に乗っているし、味噌汁のお椀と同じだが、それのどこが気に入ったのか全くわからない。 「じゃあ、僕も本読んでるから。これは借りた本だから触ったらダメだからね?」 「あいっ!」 撫で撫でとしてから本を読んでいく。 扉絵は地図のようになっており、海の真ん中に一つ丸が振ってあるのが島だろうことはわかる。 南の国の形を頭に入れておいて出だしを読むと、東の国の物語とそう変わりないのかなと思ってしまった。
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