港町

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那智達が話している間にご飯を食べ終わって、オレンジジュースをもらって飲んでいると、じーっとこっちを那智の父が見てくる。 「えっと……」 「雪翔君」 「はい」 「冬弥との生活はどうだね?」 「楽しいです」 「なら良かった。話だけは聞いていたんだが、天狐の親族であるとあまり触れ回れないので何も出来ずに申し訳なかった」 「いえ……那智さんには沢山助けてもらいました。僕も、この前知ってびっくりして」 「これからはなんでも言ってきておくれ。私も雪翔のジイジなんだから」 「ありがとうございます」 その後もじーっと見てくるので、「ジイジ」と付け足すと満足げにニコニコとお茶を飲んでいる。 「那智さん、家の中案内してもらってきてもいい?」 「構わん、重次がうちの結界内を全部知ってるから、境界線内だけにしておいてくれ」 車椅子を押してもらって、一階から順番に案内してもらい、二階にある書庫の大きさに驚く。外に出ると、やはり潮風が気持ち良く、ついお昼寝にいい場所かもと木陰を指さす。
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