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秘書と執事は若者の服を袋に入れドアマンに預けるとこちらに帰ってくる
「ご苦労であった」
老人は満足そうにうなずく
「旦那様のご助言があってこそです」
「お爺様はなんと?」
運転手は老人に答えを聞く
老人はニヤッと運転手に笑い
「ワシは、日本女性が好きなのだ」
と、答えた
その答えに、一同は笑ってしまう
秘書は口許に手をあて、執事は見えないよう横を向き、運転手はなるほどっと口を大きく開け、老人は天を仰ぎ大きくハッハッハッと
「よい、満足じゃ、では列車に戻るか」
一同はみな嬉しそうに列車に戻る
路地を歩き、レトロランプの灯る通路を木で作られた改札を抜ける
目の前には黒塗りのレトロな列車
老人は、ソファーに腰を掛ける
「わたくし、ご夕飯の支度をして参ります」
「お手伝いいたします」
秘書と執事が、部屋の裏手へ消えていく
老人と運転手だけになる
「アルフォンスよ、そこのギターを取ってくれ」
アルフォンスはギターを老人に渡す
アルフォンスは近くにあるギターを手に取る
2人は、ギターを調節する
「よいか?」
「どうぞ、お爺様」
老人がギターを弾く、その音に運転手が合わせる
列車から流れる2つのメロディ
秘書と執事は心地よいギターセッションに耳を傾け、料理をする
老人と運転手は気のすむまで弾き続けた
老人は手を休め、運転手は天井からスクリーンを降ろしている
「御夕食をお持ちいたしました」
レストランワゴンに料理を乗せ秘書が戻ってくる
「ちょうどよい、晩御飯としようではないか」
「はいお爺様」
「沙織さん、皆で食べよう、クラウスも呼びなさい」
「はい、かしこまりました」
秘書は優しく微笑み、執事を呼びに行く
上座には老人と運転手、左右に執事と秘書、下座にはスクリーン
「では、いただこう」
運転手が立ち上がる、片手には乾杯用のグラス
「お爺様の旅の成功と一族の繁栄を願い、グローリア」
『グローリア』
グラスを掲げる
談笑をしながら食事をすすめる
皆がお腹をそれなりに潤した辺りで、老人は人差し指をトントンと叩く
執事がランプを薄暗くし、秘書は天井に取り付けられた映写機のボタンを押す
映写機から出た光がスクリーンに当たる
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