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翔馬と話をし、どうやら翔馬が私と舞子の紹介をしているよう。
『この人が部長。二人とも歓迎するって言ってるよ』
朗らかそうな、体格の良い男子生徒。舞子と一緒にペコリと頭を下げたが、入部しようとは思っていない。
「──」
しかし、暫く翔馬と部長が話をしている中、ふと部長と目が合うと、“宜しく”彼は口を大きく開いたではないか。
ん……見間違い!? えっいや、宜しくって……私、入るって決めたわけじゃない。
それなのに、翔馬は部長と仲良く握手までしており、舞子は舞子でダンスに夢中になっている。
『翔馬、私は入部しないよ』
翔馬の肩を叩いて必死に言うが、翔馬は口角を上げたまま首を振った。
『俺、にきと踊りたい』
──と、言われても……。それは翔馬の気持ちであって、私は同じ気持ちじゃない。
『一緒に入ろうよ。きっとにきもダンスが好きになるはず』
確かに、明らかに世界が広がることは目に見えて分かっていた。こんな風に社交ダンスを踊れたら、きっと自分の自信にも繋がるだろう。
でも……それ以前に、ダンスに踏み込む自信がない。ネガティブな自分が、グイッと私を引き留める。
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