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こんなの……私にできるはずがないじゃない。音、ちゃんと聞けないし、スタイルも良くないし、リズム感覚だって。言い始めると、負の要素はキリなく浮上する。
それでも一緒に入ろう、と言って聞かなかった翔馬と、社交ダンスを気に入ったらしい舞子、二人に押され、私は逃げ場を失ってしまった。
見学には行っても、この光景を目の当たりにして、本当に舞子が入部したいと言ってきたのには、心底驚いた。
舞子は、不安じゃないの?
何でそんなに前向きに、生活を楽しもうと思えるのだろう。
難聴を言い訳にしてる私の方が、例外なのだろうか。いや、そんなはずは……。
『にき、私は入部しようと思うよ。一緒に始めよう、一緒じゃなきゃ嫌だ』
『にき、俺と一緒に頑張ろうよ。俺はにきと踊りたい』
二対一はズルい。押しに弱い私は、押しの強い二人に勝てるはずなく……その日、その場で、不本意ながら入部届を書かされたのだった。
社交ダンス、本当にできるの? マネージャーのようになっちゃうんじゃない?
そもそも、コミュニケーションが上手くとれず、マネージャーにもなれないか……。
あぁ、どうしよう。その夜、私は入部したことに何度も後悔し、頭を悩ませた。
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