第七章 『祭りにて、今』

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 目が合うと宝君は優しい笑顔を向け、楽しそうにステップを踏む。  そして、オーバースウェイからスローアウェイ。  そり過ぎない手前で形を決めると、無事にダンスは終了。  ステージ下の観客を見ると、沢山の人が拍手をしていて、私もホッと笑顔が零れる。  踊れた、無事に、成功することができた……。  宝君を見ているとあっという間で、私は安心して踊ることができたのだ。  舞台裏に帰ってくると、宝君はすぐに鷲尾さんをリードして、再びステージに出ていく。  そして、額に滲んだ汗をタオルで拭っていると、翔馬と舞子が肩を組んできた。  “にき、大成功だったじゃん! 良かったな”  “三人で同じ舞台で踊れるなんて、嬉しい”  興奮気味の二人に、私もいっぱいの笑顔を向ける。  “二人ともありがとう”  翔馬がいたから、社交ダンスに入ろうと思って、舞子がいたから、私は部活を続けることができたのだ。  “これからも部活頑張ろう”  “また三人で、同じ舞台で踊りたい”  私は、翔馬と舞子のことが好きだ。これからもずっと、良い関係を築いていきたい。
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