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『好、き』
──へ……?
目を見開く私に、宝君はもう一度手話を見せる。
『三保のことが……好き』
慣れずにぎこちない感じだが、私にはちゃんと意味が伝わって、みるみるうちに視界がぼやけていく。
「……好、き」
今度は私が、宝君に言葉で伝える番だった。
「宝君……の、ことが……好、き」
視界いっぱいに宝君の優しい笑顔が入ってきて、私達は初めて……キスをした。
目を瞑ると同時に、大粒の涙が零れ落ちて、顔を離すと宝君が涙を拭ってくれる。
そしてもう一度、好きだと手話をしてくれ、私は泣きながら笑顔を宝君に向けたのだった。
大きな、大きな一歩を踏み出そうとしている。
私は、宝君とダンスが大好きだ。
踊りたい、宝君と一緒に、これからもダンスを踊りたい。
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