最終章 『貴方と一緒に、踊りたい』

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~宝慶一郎~  夏休みに入る頃、毎日手話の勉強をしているからか、ほんの少しだけ使えるようになってきた。  来週初めから強化合宿が始まるため、その前にと俺は今日、三保と二人で街に出かけていた。  二人だけで外で会うのは二度目で、一度目は三保の家へ招かれた。  何気なく三保と決めて会いに行ったのだが、行くと三保の父親が待ち構えていて驚いたが、何とか気に入ってもらうことができた。  街で行列のできるパンケーキが有名なカフェに一時間並んで、ようやく店に入っても、三保はパンケーキが来る前から嬉しそう。  “ここ、一度来てみたかったの。パンケーキ楽しみ”  付き合うようになってから、いつも笑っている三保に、俺は益々惹きつけられている。  やがて運ばれてきたパンケーキには、生クリームが15cmほど積まれている。  すげー……こんな光景、見たことない。  二人で一つパンケーキを取り分け、一口頬張ると生地がふわりと口溶けた。
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