何も無い街

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女がいれば何か変わるだろうか? いや、結局のところ、女がいたって僕の人生に虚しさは付き纏うのだろう。そして一緒にいてくれた女だって、最後はそんな僕に愛想を尽かしていなくなったに違いない。 僕は道端の柵にもたれかかって頭を振った。こんなことを考えるのはもうよそう。取り出したポケット灰皿に煙草を突っ込むと、僕は近くに流れる川を眺めた。川面は街灯の光を反射して、ところどころキラキラと光っている。しかし夜の闇の中では、どれだけ目を凝らして見ても、それ以上のものは見出すことができなかった。そうするともう、僕がやっていることは川面を眺めているというより、ほとんど虚無を眺めているのに近かった。 それからしばらく宛もなく街を歩いた。街の灯りだけは僕とは無関係に明るかった。通りにはたくさんの店があり、店の中には幸せそうな人々が大勢いた。酒のせいか、それとも店内が暑いのかはわからないが、みんな頬を赤くして夢中でしゃべっているようだった。店内は人間の身体から出る汗やら何やらで、外よりもすごく湿っているみたいに見えた。そして、通りを歩いていると、実に多くの人とすれ違った。会社帰りのサラリーマン、友達同士でじゃれ合う大学生。悪くない顔の女とも何度かすれ違った。 でもそれだけだった。これだけ沢山の人間が街には溢れているのに、僕と関係のある人間は一人もいなかった。またこれから関係を持てる可能性もゼロに等しかった。
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