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マジだるい。
何でなん。
俺、坂崎浩輝はイライラしていた。
ユニバ行ってホテルに泊まるっていう予定だった俺の夏休み。
それはあっという間に崩れ去ったんだ。
おとんの夏休みの連休が急になくなって家族総出の旅行はなくなってしまった。
すっかり大阪に行くつもりでプランをめちゃくちゃたてていた俺。
ぜ~んぶパァだ。
7月27日。岡山県の某市にある坂崎家のリビングにて家族会議。
姉貴と俺があまりに大阪行きの旅行がなくなったことに抗議したため、みんなで意見を交わすことになった。
『ちょっとぅち友達にもうユニバのお土産買ってくるけんって言ってしもうたんじゃけど!!どうしてくれるん!!』
先手をきったのは今18歳の高校3年、坂崎 葵。
俺の姉である。
夏休みに入った瞬間髪を赤く染め、自称中島美嘉と豪語する年頃の姉貴は毎年坂崎家恒例の旅行が無くなったことにひどく腹をたてていた。
『俺も、納得いかんのんじゃけど。おとん仕事休めんのん?』
俺だってユニバ行きたかったわ。
んでめっちゃハジケた大阪の女の子と仲良くなって一夜限りのランデブーを過ごそうとか甘い夢を見ていたんだから…
『もう父さんは仕事を絶対休めない。絶対8月半ばまでにしなくちゃならない会社の仕事ができてしまったからな。』
あーあ。どうせこんな会議やったってこうなるのはわかっとったっちゃ。
『だからって約束を破ったその責任をどうとるかっつってんの。』
姉貴は机をバンと叩いて立ち上がった。
元々家族の絆を深めるためにと毎年夏に旅行は絶対。と決めたのはおとんだった。
自分で言ったことくらい
守れよ。
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