『若恋』榊のひみつ

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そんな時。 「大神奏の悔しがる顔が浮かぶよ。あいつの最大の弱点を手に入れた。あいつが大切にしてきたものを踏みにじる。わたしが存分に可愛がってやろう。大神が自分の身を投げ出してまで守ってきたものをね。…おや、知らなかったのかい。君は大神組を利用しようとする者たちに狙われてた。それを身を呈して守っていたのはあいつだよ。すべてをひとりで引き受けて処理してきた。君はあいつに守られていたんだ」 「…そんなこと」 知らなかった。自分のことしか見えてなかった。 『これで気づかないのならおまえは若のそばにいる権利さえない』 守られていた。 最初から、そして害が及ばないようにと安全なところへと導かれていた。 敵に利用されないようにとわざと距離をおいて――― 目の前の世界が光り開けてく。
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