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女子部員の1人が声をかけて返事がなかったら帰ろうと言って、誰もいない山道に向かって声をかけました。
「あのー、すいませーん。誰かいますかー?」
すると、話し声が止まりました。
あれ?
やっぱり誰かいるの?
私以外の2人もそう思ったようで、私たちは再び顔を見合わせました。
そしてさっき声をかけた女子部員がもう1度声をかけようとしたその時です。
「アハハハハハハッ!!」
話し声よりずっと大きい笑い声が聞こえてきたのです。
複数人の男の人の笑い声がまるで頭上から、四方八方から聞こえてくるのです。
まわりを見回しても、人の姿はありませんでした。
私たちは怖くて、悲鳴をあげて走り出しました。
1度も振り返ることなく、足を止めることもなく校舎に向かって走りました。
まだ教員が残っている校舎は明かりがついていて、それだけでも私たちは安心できました。
校舎の玄関に腰を下ろした私たち。
猛ダッシュしたため、みんな息切れがしていました。
「あれ、なんだったの?」
「人いた?」
「いなかったと思う。」
「野球部とかもいなかったよね?」
「「……………。」」
校舎まで走ってくる間、誰ともすれ違わなかった私たち。
気持ち悪くて、私たちはみんな鳥肌がたっていました。
教員室には先生たちが普通にいて、私たちは部室の鍵を返しました。
その時、顧問の先生に聞いてみました。
「先生、今日野球部の練習早く終わったんですか?」
「あぁ、今日は組合があって早く帰る先生たちが多くてな。早く終わったり、休みの部が多いんだよ。」
「そうなんですか。それじゃあ、お疲れ様です。」
「おう。気を付けて帰れよ。」
他の部活の部員がいなかった理由がわかったのはよかったですが、休みの部や早く練習が終わっている部が多いということは、あの声は他の部の男子部員の話し声が反響したものではないということ。
だってあの時間、あの辺りには私たちしかいなかったのだから。
翌日先輩たちにあの恐怖の笑い声について話したのですが、誰も信じてくれませんでした。
気のせいだとか、空耳だとか言われました。
けれど、私たち3人は確かに話し声や笑い声を聞いたのです。
あの体験はなんだったのか、今でもわかりません。
でも、私たち3人は今でもあの体験を忘れることはできません。
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