Yちゃん

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 Dは車椅子に乗っていた。  車椅子を押していたのはDのお母さん。とても辛そうな顔をしていたらしい。  一言で言えば、Dは、おかしくなっていた。  手足をバタつかせて、意味の分からない言葉と奇声を発して。  顔は笑顔だったらしい。  だけど目は笑ってなくて、顔に笑顔が張り付いてるみたいだったと。  なんでそうなったのかは分からない。  事故だとか病気だとか噂は流れたけど、結局真相は分らず仕舞い。  そんな時にも、YちゃんはDが死んだ、Dが死んだって言ってた。  その内一人の子が、Yちゃんに、どうしてDが死んだって言うの?って聞いた。  そしたらYちゃん。  だって、Dは消えたから。  もう戻って来ないからだって。  うん、単純に不登校になって転校したからそう言ったのかもね。  だけど、ひょっとしたら、Dの精神がもう消えて死んでしまった。  Dはもう元には戻らないって意味でそう言ったんじゃないかって。  たまに思うんだ。  
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