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見ちゃダメ!!
そう叫んだのは、お母さん。
私の目を手で塞いで抱きしめてくれた。
どのくらいそうしてたのか分からない。
お母さんが必死にお経を唱えてたのは覚えてる。
もう大丈夫だよってお母さんが解放してくれた時には、あの黒い人は居なくなっていた。
その日から何故か私、おにぎりが食べたくて食べたくて、よくお母さんにせがんでたよ。
お母さんはあの黒い人の事をお祖母ちゃんと相談していたみたい。
そしてある日、お母さん沢山のおにぎりを作って御仏壇にお供えした。
私も一緒に手を合わせたよ。
後で聞いたんだけどね。
私達の遠い親戚に、孤独死したおばさんがいたんだって。
どこにも身寄りがなくて、最期は何も食べる物が無くて餓死したんだって。
見つかった時、死体は腐乱して虫がたかって酷かったらしい。
多分、あの黒い人はそのおばさんだね。
それからは御仏壇から変な音も聞こえなくなったし、黒い人も見なくなったよ。
ただ、焦げ臭い匂いは結局そこを引っ越すまでしてたなぁ。
やっぱり関係あるのかね。火事。
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