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私はあっけにとられていた。
その言葉に。
約束もうすぐだね。確かにそういった気がした。
…約束って何?
…そもそも彼のこと知らないし。
ありとあらゆることを考えたが全然わからないまま無情にも時だけがすぎた。
…ああ、モヤモヤするー。
学校に着いても全然授業に集中できず、休み時間に友達に朝の出来事を話した。
キュンキュンするね。
恋の始まりかー?なんて茶化されただけで何も進展ないまま1日が終わろうとしていた。
考えても答えが出ず、布団に入ろうとした時にお母さんに声をかけられた。
「今日の昼間にね。幼稚園の時一緒だったダイスケくんのママに偶然会ったの。また近くに戻ってきたみたいよー。ユリ覚えてる?」
「ダイスケくん?わからないー。もう疲れちゃったから寝るねー。おやすみなさい。」
さっぱり覚えていなかった。
幼稚園の時の記憶は、ほとんど覚えていない。
翌日も学校でいつも通り地下鉄に乗って、毎日の日課である観察をしていた。
私が乗って、しばらくすると昨日の彼がいた。
まだ気づいていないようだ。
私は、昨日の言葉をまた考え始め、彼を見つめていた。
…歳は、私と同じ高校生くらい。
…背が高く、イケメン。モデルとかやってそう。
…あっ!あくびした!
そうこうしていると、気づかれた。
目が合うと、昨日と同じでニコッとして、ゆっくりとわかりやすく口パクをする。
「約束、思い出した?」
言い終えると、降りる駅だったようでまたもや去って行ってしまった。
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