積年

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本当は面倒くさくてたまらなかった。 地球の未来のためといっても自分たちは何十年かすればみんないなくなる。 未来の人間のためにといっても。 人々はごみを我慢することなく捨て始めた。 レジ袋なんて持ち歩かなくなった。 どうせごみは業者が持って行ってくれる。 目の前からなくなればそれでいい。 みんな、そう思った。 増えたごみを再利用するのにさらに時間を費やした。 金は決められた額しか使えないから、再利用に使われないごみが増えた。 燃やせばダイオキシンが出る。 埋めれば土壌汚染だと叩かれる。 一応、みんなまだ関心があるふりをする。 抗議や文句がでないように、ごみは遠く離れた海へと流し込まれた。
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