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見られてまずいといった様子ではなく、何か私を見て驚いているといった感じであった。
少年はようやく現実に戻ったかのように、ぎこちない様子で私から目を逸らし、本をもとの位置に戻して店から出て行った。
その足取りも逃げ去るようなものではなく、どこかふわふわとしたものだった。
まあ、何にしてもあの少年が万引き犯にならずによかった。
戸棚から取った小説をしばらく読んだ後、私は店を出た。
すると先程の少年が店の外に。
「あの」
と少年は躊躇するように声を掛けて来た。
「大丈夫。君は何も盗んじゃいないから、警察に突き出すなんてことはしないよ」
私は少年を警戒させないように明るい調子で言った。
「ありがとうございます。でも、それは何となく分かってました」
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