他人の夢

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不思議なことを言う少年だと思った。 私を善人に仕立てて、気が変わらないようにおだてているのか。 それともそういったものを感じ取る力があるのだろうか。 「どういうこと?」 私は聞いた。 しかし、少年は私の質問にまともに答えず次のように言った。 「やっぱりあなただったんですね」 私は同じことを繰り返した。 「どういうこと?」 「あなたが僕の夢に出て来て」 「私がかい?」 「何度も」 おかしなこともあると思った。 彼は夢の中で私を何度も会っていた。 現実では見たことがなかったらしいが。 もちろん私もそうで、夢にも彼は出て来たことがない。 「変わった夢になったね。私とこうやって実際に会うっていうのは」
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