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見渡しているうちにドアが閉まった。そしてすぐに電車は走り出す。降り損ねたので仕方なく椅子に座る。一応、と持ってきた参考書を開く。地下鉄に乗って、ガタゴトガタゴト。ふと、周りが暗くなった。見上げてみると車掌さんと思しき人がいた。黒い服と帽子に白い肌が浮いている。
「切符、拝見できますか。」
今まで、この駅の電車を使っていてそんなこと言われたことなかったので、驚いた。けれど一応言葉に従って、言う通り持っていた切符を渡した。渡した後に、あの切符は変なものだったなと気づいたけれど、車掌さんは咎める様子もなく、最近多いなぁ、と独り言のように呟いて去っていった。
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