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―1―
……どこだろう。
此処は。
見たコトがある。
来たコトがある。
…そんな場所だ。
続く街並みは暗闇。
そこにヤケに賑やかで華々しい行列が流れていく。
淡い山吹色と、鮮やかな桃色の提灯が揺れているのを目にして、
嗚呼、コレは祭りの行列なのだな、と気が付いた。
その時、ふいに後ろで歓声が上がったのでそちらを振り向く。
金色の鳳凰……いや、朱雀だろうか…の像を頂にした
艶やかな朱塗りの御輿が、うねるようにして人々の間を縫っていく。
ソコで僕は、フと妙な感覚に襲われた。
何だろう……この不思議な気持ちは。
良くは解らないが、嫌な気分ではナイ。
――わぁっ…―
もう一度大きな歓声が上がった。
御輿の後について行く者
それを見送る者
拍手をする者
歓声を上げ続ける者…
―…人々は皆、明るい笑顔だ。
そして一様にナニかから解き放たれたように幸福そうである。
その明るさには普通、各地で行われる、多くの祭りに与えられたどこか狂喜的なまでの馬鹿騒ぎの時ような不快感はみあたらない。
その一種異様なまでの、人々底抜けの明るさが醸し出す不思議な状態を、ワケの解らぬまま、しばらくぼぅっと見つめていた。
その直後である。
フ、と何かの気配を感じた様な気がして、僕は後ろを振り向いた。
薄緑色のヒドク古びて、あちこち塗装が剥げたサビのあるミキサー車が一台止まる、
白壁の小さな会社が目に入った。
その荷物を出し入れする扉の前にある段の所に、二人の男が立っている。
僕はなんとなく導かれるようにそちらへ足を進めた。
顔が判別出来るくらいの所まで来て、僕は驚いた。
…知人である。
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