木下闇

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   蒸し暑い空気のなか、たどる日陰はやっぱり気休めだった。  照り返しの暑さを忘れていた。  そして、方向も。  いくつめかの曲がり角で、どっちへ行こうかと見回す。  一体、今どの方角を向いているか分からない。  変な道を通るんじゃなかった。  後悔して焦っていると、すうっと涼しい風に撫でられた。  気がした。  見れば、両方からの木陰が続く道がある。  木の枝が道の上まで伸びて、日光を緑色に透かしている。  どっちへ行っても知らない道。  だから涼しさを取った。  
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