変態は深夜の公園で

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 不良男達の血管が切れる。 「ふざけるなあああッ!」  不良男達が握った拳を一斉に、変態男へ突き出した。  ――だがそれは、あまりもやすやすと避けられる。四方八方から繰り出される拳を、男は肌色の軌跡を描きながら、舞を舞うように躱していく。 「遅い!」  変態男が、叫ぶ。 「神愛撫指(ゴッド・フィンガー)!」  変態男の中指が、流れるように不良男一人に、触れた。 「ア……っ……?」  瞬間、不良男二人が、電流に触れたかのように、震えながら地面に倒れた。恍惚の表情と共に倒れた不良男二人のシャツの胸には、先ほどまでなかった穴が二つ、現われていた。直径五ミリにも満たない小さな丸い穴から覗くのは、ピンと立った小さな主張。 「あの一瞬で乳首に触れた、だと……!? 尚且つ、ピンポイントで快感を呼び起こした……!?」 「私には貴様らの性感帯が手に取るように分かる」  目の前の出来事が信じられず呆然とする残りの不良男へ、クイックイッと中指を曲げながら、変態男は答える。そして、 「神愛撫指(ゴッド・フィンガー)!!」 「アアアアアッ?」  さらにもう一人の不良男の乳首も、流れるような動作で、擦る。  陥没していた二つの乳首は、触れられたことにより一瞬で、固く、それでいて熟れた果実のようにポツと主張する。指により敏感になって、触る瞬間穴の空けられた服から覗き出したそれは、触れた空気にしゃぶりつくされるような感覚を体の奥底から呼び起こす。  空気中の酸素、窒素、二酸化炭素が、それぞれ乳首に絡みつき『おっぱいおいひいのぉぉ??』と。無慈悲に暴れ出すのだ。 「らめええええ?」  地面に倒れた不良男は、涎を垂らしながら地面へ突っ伏する。お尻は地面から浮き、誘うようにピクピクと揺れる。 「うわああああ」  それを見て、残った不良男は絶叫を上げて逃げ出した。  鼻で笑い、その背中を見送る、変態男。  暴かれる性感に怯える者など、変態男の手にかけるほどではない。 「……今宵も、この街の平和は」  守られた、と続けようとした変態男の唇が、止まる。
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