51:49

6/10
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
私は使命感にも似た感情を覚えながら、粛々と加工を続けた。 ネットから拾ってきた卑猥な画像と顔写真とを組み合わせ、馴染ませる。アイコラの経験はないが、仕事でこのソフトは日常的に使っているので難なくできた。 ベッドの中で絡み合う男女や、男の股間にしゃぶりつく女、乱交パーティーのワンシーン――。 猥褻画像の女の顔に、次々と妹の顔がはまっていく。 十枚ほど出来上がった写真を見て、私は悦に入った。 これを妹の結婚相手が見れば、どう思うだろうか。 信じるかどうかは問題じゃない。こんなものが出回る妹に不信感を抱かせるのが目的だ。 たとえ妹が誰かの悪戯だと主張しても、悪戯をされるような相手と結婚したいとは思わないだろう。破談になることは間違いない。 ほくそ笑みながら、写真をプリントアウトする。 鼻歌交じりに封筒に宛名を書こうとして、手を止めた。 馴染みのある町名だ。彼の住まいは、私の家の目と鼻の先にあるようだった。 近所なら、郵便で出すより自分で直接郵便受けに投函しに行ったほうがずっと早い。そのほうが早く、彼にこの写真を見てもらえる。 宛名も消印もない封筒で届いたほうが、気味の悪さも際立つことだろう。 もう午前一時を回っている。この時間なら人通りも少ないから、怪しまれることはないはずだ。 私は会社を出ると、いそいそと妹の結婚相手の家へと向かった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!