快楽の恩恵

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「大丈夫…? 顔色が悪いよ」 当時も化粧品販売の仕事をしていました。販売会社とは数字がすべてですから、営業にかける時間を考えると彼との逢瀬にも限界があります。 ですが、私は睡眠時間が取れずとも彼に会いたいと思うようになっていました。 営業所内では、密かに私への心配の声が上がっていたようです。 そんなある日、一人の顧客様より呼び出されました。待ち合わせの場所はお寺です。 「気楽にいてね」 彼女は、私より幾つか年下でしたが、妖艶な雰囲気はまるで年上の方かと思う、そんな第一印象でした。 私たちは境内を取り囲む回廊を、ゆっくり奥へと進みます。そこには方丈と呼ばれる住職様のための建物が佇んでいます。
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