快楽の恩恵

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「体調は、いかがですか?」 住職様の質問の最中の事です。隣で座っていた彼女にわずかな変化が起こりました。 刹那、住職様の口から聞いた事もない呪文の様な言葉が飛び出します。 訳もわからず動けなくなった私の前で、彼女は大きく口を開き叫びました。 『誰のおかげか知ってて……ッ!…此処に、連れてきたのかっ!?』 ゾッとするような低い声は段々と力強く床を震わせます。私は思わず目を閉じてしまいました。 「この方を苦しめておる事に、気付かないのか」 住職様の静かな声が聞こえると同時に、彼女は私に掴みかかりました。 瞬時に鼻先に辿り着いた匂いには覚えがあります。 毎夜、私を抱いている、あの人の匂いです。
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