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厚手の毛布で十分に体を暖められると思ったのに、頭、頬、鼻先、肩、足の先と、なぜかゾクッとする寒さを感じて意識が戻る。
そして、瞬間決まって視線を感じた。
自分の意識は自分にあるはずなのに、自分の傍で自分を感じる気配がするのだ。
他人になって自分が存在する様な感覚。
この部屋には、私と子供達だけのはず。
なのに、私は誰なんだ?
何で、私を見ている。
何処だ。
何処で見ている?
私の姿の先にベランダの窓が見える。
見つめる窓のカーテンが僅かに揺れた。
『何だ?!』
意識が窓に近付いて行く。
風が吹いたようにその瞬間またカーテンが揺れ、白い光とカーテンの隙間が露わになる。
そして。
黒いワンピースを着た、顔を歪めて威嚇する幼い少女がこちらを睨んで、歯を剥き出しにし飛び掛かって来た。
『シャァアアアア』
猫が、喧嘩の時に上げる絶叫に似ていた。
『ニャァアアア、ニャアアアアア。オオオオゥウウウウウ。オオオオウ』
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