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うーん、昔のものが好きなコレクターもいるだろうし、そういう人なのだろう。
再び車体が動き出すと、今度は随分と長く揺られた。また眠気が襲ってきた頃に、またアナウンスが聴こえた。
「次は、江戸、江戸です」
江戸? 大江戸線、とかじゃなくて、江戸?
駅に止まると、今度は着物を纏った男が二人、入ってきた。奥へと進む二人組はなにやら話し込んでいる。
「いやはや、近頃は洒落たものが増えておるな」
「いやまったく。幕府が倒れた後、このような時代が訪れようとはな」
笑いながら奥へと去った二人組の背を注視していた自分に気付き、視線を落とす。
今のはなんだ? 役者だろうか? いや、コスプレだろうか?
幕府がどうのと言っていたけど……。今日は妙な客が多いな。また一瞬暗くなると、アナウンスが聴こえてくる。
「次は、戦国、戦国です」
は? 戦国!? 室町とか、安土桃山辺りか? まさか、この地下鉄過去に走って……いやいやいや、それならどうして江戸だの昭和の人間が平然と乗ってくる? ありえんだろう。
駅で停車し、乗り込んできたのは甲冑姿の集団だった。十数名がぞろぞろと入って、奥へと進んでいく。
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