アイノチカラ

あやめの第1話

｢佐藤さーん！｣名前を呼ばれて廊下の方を見ると、クラスメイトが興奮した様子で手招きをしている。

私は仲良くなった和香子(わかこ)、奈緒(なお)の2人と窓際の席でお弁当を食べていて、クラスの騒ぎに全く気付かず、

｢あれってF組の…！｣

｢金髪だし、やっぱりそうだよね…！？｣

みんなの囁きを耳にしながらドアの方へと足を進めた。

｢さ、佐藤あやめ…さん？｣

入学式から一週間。早くも有名人であるF組の瀬田一太(せたいった)が、わざわざ私を探して特進棟に出向いてきている。

そう、彼を見るのは今日が三度目。