あやめの第1話

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遡ること一週間前。あれは…入学式の日の夜のこと。 「そう言えば帰りにばったり瀬田さんって方に会ってね!」 母が夕食の準備をしながら、楽しそうに話し始めた。 「櫻田高校の制服を来てたから思わず声をかけちゃって!お母さんちょうど桃と一緒だったんだけど!」 「ところでその桃お姉ちゃんは夕飯食べるの?」 私は食卓に箸やコップを並べていた。 「斗真(とうま)くんとデートだからっ出掛けていったわよ。って違うのよ、あやめ!」 「違うのよって、私何も言ってないでしょ。お姉ちゃんはデートなのね?」 丼に盛られたのは熱々のカツ丼。私は丼ぶりを受け取るとテーブルに運んだ。
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