プロローグ

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夕方前に泊まる予定の旅館に戻って、みんなで風呂に入った。 こうやって風呂に入るのは久しぶりだな、と誰かが言った。考えてみると、1年生の時に1度だけ、3人が俺の家に泊まりに来たことがある。その時以来だ。俺らも大人になったなぁ、また誰かが言った。 きっとみんな思い返している。この4年間を。 夜は熱い鍋をつつきながら、様々な話をした。大学での思い出話、好きな子の話、就職の話…鍋が冷えた頃には話も尽きて、一人、二人と眠り始めた。 もうすっかり冷えてしまった肉を頬張りながら、3人の寝顔を眺めた。もう見られなくなるのか…そう思うと、不意に悲しくなった。しかし同時に嬉しくもなった。同じ仲間と4年間も一緒にいられるなんて、こんなに合う仲間に出会えるなんて……自分は恵まれている。絶対に楽しもう。てっぺんで、写真を撮ろう……。 いつの間にか自分も寝てしまったらしい。朝起きると、すっかり片付けられた机が目に入った。 「あっ……芳樹、山部」 「よう柊二!起きたか??お前箸持ったまま寝てるから驚いたよ!なぁ、山部?」 「ほんとだよ!朝起きたら箸持って突っ伏してるんだもんな!」 「はは、いつの間にか寝ちゃってたみたいだな!机の上、2人が片付けてくれたのか?」 「七島がやったんだよ、俺が起きたらもう綺麗だった」 「おう、一番先に寝たからな、一番先に起きてやったよ」 「そっか、ありがとう」 「うぅ~ん、おはようさん……飯はまだかぁ?」 「岡野、おはよう」「起きてすぐ飯かよ!」 山部のツッコミがいいタイミングで続く。朝から調子がいい。
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