プロローグ

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10分ほど休憩すると、またすぐに歩き出した。 高度が高くなってくると、雪が降り出した。 「おいおい、雪だぞ!!」 「大丈夫なのかこれ…?」 そうやって話しながら、はぐれないようにゆっくり歩みを進めていく。 しかしどうしたことか、いつの間にかみんなが見えなくなっていた。情けないことだ。 きっと3人は俺がいなくなったことに気づいて、心配してくれているのだろう。申し訳ない気持ちになった。 しかしまぁ卒業旅行で遭難するなんて、万が一本当に見つけられなかったらどうしようか。このままこの寒い山の中でたったひとりで死んでいくのだろうか…?だとしたらあまりにも呆気なさすぎる。まだやりたいことはたくさんあるんだ。ここで死ぬわけにはいかない。 悪い視界の中なんとか前へ進み、洞窟らしき場所を見つけた。吹雪はしのげそうだ。幸い食べ物は沢山持ってきておいたし、服も暖かい。数日間は過ごせると思う。だが…数日の間に見つけてもらえるだろうか、あとの3人は無事だろうか。そんな心配が頭の中を巡り、ほかのことを考えることが出来なかった。 いつの間にか寝てしまっていたらしい。目が覚めると吹雪はやんでいた。しかし洞窟の外は一面真っ白、自分がどの道を通ってきたのかもわからない。 洞窟の外に出てみると、暖かい日差しが身体を包み込んだ。積もった雪に日差しが降り注ぐ。美しい景色だった。自分がこんな状況に置かれてなければ、きっと見入っていたことだろう。
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