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これは私の母から聞いた話です。
私が生まれる前のことですが、若き日の両親は幼い姉と三人で、今とは別の、こじんまりとした平屋の家に住んでいました。
その家の床の間には、一時期、ある掛け軸が掛けられていたそうです。
その掛け軸は祖母(母からしたら姑です)から渡されたもので、四国霊場のご朱印を円形に並べたようなものだったらしいのです。
姑から床の間に掛けるよう言われた母は、その通りにしました。
しかし、異変が始まったのはそれから数日後でした。
夜中、母は、夫がうなされている声で目が覚めました。
悪い夢でも見ているのだろう、くらいの気持ちで、母は父を起こさずそっとしておきました。
翌日、うなされていたことを伝えると、父はこんな悪夢を見ていたことを話しました。
天井に小さな穴のような物があるのが見え、始めは天井の模様だと思っていた。しかし、それが気になって眠れなくなる。
しばらくすると、それが大きくなっていくのに気が付いた。
驚いて見ていると、真っ黒い穴はだんだんと大きくなり、とうとう天井一杯にまで広がる。
すると、その中から巨大な目が現れた。
その目はぎょろり、ぎょろりと動いて、自分のことを見つけると、ジーと睨み付けていた。
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