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また、別の日に、母もこんな不思議な体験をしていました。
まだ辺りも明るい夕暮れ前のこと。
床の間のある部屋の前を何気なく通り掛かると、一瞬何かが見えたような気がした。
それで、もう一度部屋の前に戻ると、見たものに驚き、思わず声を上げそうになる。
床の間には、いつものように掛け軸が掛けてある。
その掛け軸の前に、白っぽい何かが動いている。
目を凝らして見ると、それは人の形をしていた。その白っぽい人形が何体も、掛け軸の前に並んでいる。まるで公衆トイレの順番待ちをしているようだ。
半分透けるようなその人形は、掛け軸の中へ、すー、すー、っと一体ずつ、吸い込まれるように消えていった。
その他にも不思議な体験をしていたそうですが、あまり人に知られたくないと言って、話してはくれませんでした。
掛け軸については、気味が悪い、ということで、その後祖母に返したとのことです。
実際に見ていない私には、その掛け軸がどういったものか、しっかりとは分かりません。また、祖母がどのようにその掛け軸を手に入れたのか、その後の掛け軸の行方も、祖母が亡くなった今では分からないことです。
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