【高校デビュー以下略プロジェクト】

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「……ワ」  小さな声が聞こえる。 「……マ……」  聞き取れない。もう少し、大きな声で…… 「起きなさい、ハザマトワ!」 「痛ぁっ!」  怒号と共に、頭を激痛が襲った。  「な、何」  ぼんやりとした視界に、ショートヘアの女子が映る。気の強そうな瞳が、僕を睨みつけた。 「あんた、いつから寝てたの?」  いつからって聞かれても……いつからだっけ。 「もう入学式終わったんだけど」  僕はそんなに寝てたのか。 「……え?」  そんなコメディみたいな返しがあるかとツッコミたくなる。 「え? じゃないわよ。あんた、体育館集合って知らなかったの?」  呆れた、という顔でショートヘアの女子が溜息を吐く。 「知らなかった」  初耳です。慌てて手紙を確認する。そんなの、書いてあったっけ? 「……」  書いてないじゃないか……いや、よく見ると下の方に何か 「体育館集合です」  書いてあった! でも小さい! 字が! 僕以外に見落とすやついなかったのか!? 「よく見てなかったあんたが悪いわね」  憐れむような視線が痛い。 「次は気をつけるのね」  ショートヘアの女子は隣の席に腰かけた。 「私はサキ。【美空 咲】。よろしくね」 「よ……よろしく」  さっき叩かれた恐怖に、声が震える。授業中、居眠りでもしようものなら、鉄拳を食らいかねない。気をつけねば。
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