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「うん。だって、ずっとトワ君の寝顔を見てたからね」
「……ん?」
一瞬思考が止まる。
「ずっと、僕の、寝顔を、見てた?」
反芻しても、意味が分からない。いや、言葉の意味は分かるけど。
「ずっとって、いつから」
「うんとね、トワ君が校舎に入るところは見たし……」
「……ん?」
待て待て待て。それが本当だとすると、何故こいつは僕に話しかけないんだ。
「あ、そういえば、門が開かなくって困ってるところも見たな」
あの時もいたと!?
「考え込んでる顔、可愛かったなぁ」
「キモチワルイキモチワルイキモチワルイキモチワルイキモチワルイキモチワルイキモチワルイ」
ぞわ、と肌が総毛立つ。
教室にいた数人が、何事かと視線を向けてくる。
「気持ち悪いなんて言わないで、俺傷つきやすいから」
ぽん、と肩を叩かれる。
「ひっ」
耳元に口を近づけられる。
「トワ君、思いっきり目立ってるよ? 高校デビューできて良かったね?」
腰が砕けて、席に座り込む。
「じゃあ俺、斜め後ろの席だから。よろしくね!」
「……」
よろしくしたくない。クラスを替えて欲しい。
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