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シオリに案内されて、図書室にやって来た。
扉を開くと、埃と紙の匂いが漂ってくる。
「一人で来るのは不安で……トワくんが一緒に来てくれてうれしいな」
シオリは嬉しそうに告げる。
背の高い書架を見回し、本を抜いてはぺらぺらと捲る。
「読んだ本ばかり……やっぱり……」
ぼそり、と呟く声に目を向ける。
「あ、私、本が好きで! 小さな頃から本を読んでばかりで……」
あたふたとシオリはまくしたてる。
「同じだね。僕も、暇があれば本を読んでるよ」
シオリは瞬きを繰り返した後、ほっとしたように笑った。
「本好きな同士、仲良くしてね」
「うん。こちらこそ」
シオリがこちらに近づいてくる。
「ねえ、トワくん。君の書いている作品、読みたいなぁ」
「!?」
僕の横を通り抜ける瞬間。そんな声が聞こえた。
慌てて振り返る。シオリは他の本棚の方へと行ってしまった。
「僕の……作品?」
ずき、と頭が痛んだ。
僕は何か、書いていたっけ?
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