家に憑く者

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 一ヶ月後。  新たな家族の豆柴がやってきた。今度は外ではなく家の中で飼うことにした。愛くるしいその姿に温かな気持ちになった。名前はソラ。夜は私の部屋のクッションで寝ている。なんとなく弟が出来た気分だ。  カケルを殺した犯人はいまだに捕まっていないが、家の中で一緒に暮らすソラは安全のはずだ。だがしかし、一週間後にまた私は涙を流すことになる。  なんで、どうして。  クッションに沁み込んだ真っ赤な血とともに手足をギュッと伸ばして息絶えているソラを目にすることになってしまった。  不思議なことにどこも荒らされた様子はない。鍵は全部かかっていて誰かが侵入した形跡もない。ソラが吠えることもなかった。それはカケルのときも同じだった。  もしも誰かが入ってきたとしたら、きっと私は目を覚ましたはずだ。  ならば、ソラの死はどう説明したらいいのか。何かの病気が発症したのかもしれない。そうだ、そうに違いない。そう自分に言い聞かせるしかなかった。  落胆しつつも、休むことなく中学校に向かった。  その日の授業はまったく頭に入ってこなかった。給食もほとんど口にしなかった。友達と話すことさえしなかった。  帰りも上の空で気づいたら家の近くを歩いていた。  いったい何が起きているのだろう。  家に帰ってももうソラはいない。犬は飼わないほうがいいのだろうか。そう思ったとき、ふと近所で犬を飼っている家が一軒もないことに気がついた。  どうしてだろう。あまり気にしたことがなかったが何か意味があるのだろうか。いや、意味なんてない。たまたまだ、きっと。
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