家に憑く者

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 一緒に帰れば、大丈夫だ。そう思う反面、また門柱に睨み付ける顔があったらどうしようとの思いも湧いてくる。家に近づいてくると心拍数が上がってきてしまう。  大丈夫、きっと大丈夫。  母のあとに続いて門柱を通り過ぎるときにチラッと見たが、そこには顔はなかった。当たり前だ。あるはずがない。やっぱり何かを見間違ったのだろう。そう思っても何かがモヤモヤしていた。  その夜、どうにも気になって私は父と母に門柱の顔の話をした。けど、信じてくれなかった。ソラの死のショックで変なものが見えた気がしただけだと。  そうなのかもしれない。けど……。  私はいつも通りベッドに入って寝た。けどすぐに眠れなかった。つい考えてしまう。  ソラはもういない。寝ていたクッションも処分してしまった。カケルもいない。もしかして、あの般若の面も犬の死に関係しているのだろうか。そんなことあるはずがない。本当にそうだろうか。  なかなか眠れずに気づけば深夜二時を回ってしまった。  あれ、どこかで物音がする。カタカタカタと。  どこからするのだろう。  薄暗い部屋を見回して見る。音の出所がわからない。外からだろうか。窓から外を見遣ると、庭に人影があった。えっ、誰。後姿のようだ。  お稲荷様にお参りしているみたい。こんな夜中に。しかも、人の家にお参りしに来るだろうか。
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