【プロローグ】ある日それは突然に

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上下の感覚を失い、宙を彷徨うその刹那、窓の外の光景が目に飛び込んだ。 3両編成の最後尾から見えたのは、先頭車両が大きく右に脱線し、後の車両もそれに釣られて大きく右に振られていく様だった。 車両全体が大きく傾き、このままだと横転する。 いや、問題はきっとそこではない。その先だ。 車両全体が倒れ込む先にあるのは、下り線の線路。 この車両とは逆方向に進む電車が通る道だ。 それの意味するところは・・・ その先を思い描くよりも早く、現実は訪れた。 爆音が響いたかと思うと、車両全体が物凄い速さで右に傾き、それに引きづられるようにして今まで宙に浮いていた全てが高速で動き出した。 見えない何者かに引かれるようにして俺の体は窓を突き破り、地面に叩きつけられた。 鈍い音が体の中に響く。 どこか骨が折れたのかもしれない。土の匂いが口いっぱいに広がり、青空と土色の地面が交互に視界の中で踊った。
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