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「今日、多いねぇ」「休みやけんやない?」
車内を見て思わずそう呟くと友達も返事を返す。久しぶりに乗った地下鉄は満員。私と友達は自分の持っていた荷物を落としたり盗られたりしないように握りしめる。地下鉄に乗って地元の駅まで数駅。やはりバスにするべきだっただろうか。たわいの無い会話をしながら人の足を踏まないよう、誰かにぶつかってしまわないよう最新の注意を払う。途中、友達にぶつかってしまった。
「…大丈夫?手すり持っとったら?」
生憎私の身長は低く、上の手すりには届かない。隙間から横の手すりを持っていると、不意にそこに座っていた青年が立ち上がった。不思議に思っていると、
『よかったら、座ってください。危ないので』
急な展開に驚き悩んでいると、駅につき他の人に座られてしまった。折角なのだから座っておけばよかったねと友達と話したが、それは後の祭りである。
よく考えればお礼も言えていない。お礼くらい言えばよかった。次にある事があれば、お礼はキチンと言うことにしよう。
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