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『まだ…まだ萌果は7さ…いなのに…』
小さな悲鳴のように母親が口を開く。
遠堂静果(エンドウシズカ)。萌果の母親。
『…俺にはどうすることも出来ない…』
静果の肩を抱いて静かに唸るのは
遠堂志(エンドウシノブ)。萌果の父親。
『わ…たしたちの萌果がイケニエなんて…私にはそんなこと…出来ない…』
ポロポロ涙を溢す静果。
『悔しい…けど、どうすることも…』
『ねぇあなた!!!この村を出ましょう!!!やっぱり無理よ…萌果を見殺しにするなんて出来ない!!!』
勢い余って胸ぐらを掴まれている志は小さく首を振る。
『静果だってわかってるだろ…逃げることなんて…出来ないって…』
静果はその言葉に目眩を起こしたかのようにふらりと手を離してソファーに沈む。
そう…分かっているから。
決して逃げられないって…
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